YouTube で適当に動画をザッピングしていたら、ぐうぜん目にした「トロピカル・ヒップホップ」の文字。正確には、アルファベットで「Tropical HipHop」なんですが。これはアリだな、と思いましたね。その考え方、概念があったのか、って。その、「ヒップホップ」と意外性かつめちゃくちゃいい感じに相性が良いと言葉の組み合わせとして、「サイケデリック・ヒップホップ」以来というか。その2つ、なかなかわからないだろうけど、いや、実際はあってしかるべきだろう、ていうその 2 者の組み合わせ。それが、「トロピカル・ヒップホップ」ですね。
僕たちは何度も同じようなガールズ・ロックに恋をする: Ribon Stage「Favorite Girl」
何度も何度も同じような音楽に恋してしまう(恋と言えるほど惹きつけられる) 経験は、ある程度履歴を積んだリスナーの誰しもが持っていると思います。どういったジャンルかは人によって違いますが、ガールズ・ロック好きなら、New York を拠点に活動するパンク・バンド、Ribbon Stage によって恋に落とされてしまうでしょう。何度目かの。
楽曲情報
- タイトル:「Favorite Girl」
- アーティスト: Ribbon Stage
- リリース: 2020 年 5 月 1 日
くすんだエレキギターのコードストローク、もたついたグルーヴ、そしてアンニュイで透明感のあるボーカル。そして 8 月リリース予定のアルバム『My Favorite Shrine』からの先行シングル「Favorite Girl」は 1 分半という短さ。何から何まで完璧ですね。
生演奏と多重録音が生んだ怪し過ぎる未体験 ASMR ソウル・ミュージック: NNAMDÏ『BRAT』
2014 年に発表した『Feckin Weirdo』での、当時のビートのトレンド取り入れつつも何段も突き抜けた怪グルーヴっぷりと、ASMR 的な効果のある緻密な多重録音で話題になった、NNAMDÏ。 続きを読む
アナリーゼという視点から音楽史を捉える一冊: 久保田 慶一『音楽分析の歴史: ムシカ・ポエティカからシェンカー分析へ』
3 月に編著書『楽譜でわかる 20 世紀音楽』を刊行したばかりの国立音楽大学教授・久保田慶一が、音楽分析 = アナリーゼという視点から音楽史を捉える『音楽分析の歴史: ムシカ・ポエティカからシェンカー分析へ』を発売予定。4 月 8 日に春秋社から。価格は 3,960 円。
続きを読むポスト・パンデミック時代における音楽の在り方
感染症を終息させるには、人の密集を避けなければなりません。これは、多くのファンから少しずつおカネを集めてまとまった収益を得る (=薄利多売) という現在のポピュラー音楽ビジネスモデルが、成り立たなくなることを意味します。
続きを読むポピュラー音楽の境界を顕にするソウル: Moses Sumney『græ: Part1』
50 ALBUMs of the Year 2019: Billie Eilish による時代の支配, あるいは復権へ向かうロック
2019 年はとにかく Billie Eillish の年でした. 彼女は本当に, 数年に一度現れる, メインストリームにおける突然変異というか, アルバムは本当に衝撃的かつ先鋭的で, しかも多くのリスナーに受け入れられました. ということで 1 位は BIllie です.
ヒップホップとジャズの10年: 個人が選ぶ 10 年代のアルバム 100 選 -Albums of The Decade ’10s-
もうすぐで 2010 年代が終わります. 10 年代も本当にたくさんの素晴らしい音楽が生まれました.
音楽にとっての 10 年代を短くまとめると, ヒップホップとジャズの 10 年間でした. トラップやサウンドクラウド・ラップといったヒップホップの新しい潮流の勢いもあり, ヒップホップはロックを抜いてアメリカで最も「売れている」ジャンルになりました. また, 特に日本で人気だったのが,「Robert Glasper 以降」で括られたジャズです.『Black Radio』におけるヒップホップへ接近したジャズが話題を呼び, これを皮切りに, Robert Glasper 以外の同時代ジャズも注目を集めるようになりました. 続きを読む
個人が選ぶ 00 年代のアルバム 100 枚: Albums of The Decade 00s
2019 年は, 日本においては平成が終わり, 令和が始まった年でしたが, 世界的に見れば, 10 年代という一つのディケイドの終わる年でした. 10 年代が終わる…, これは 21 世紀が始まって 20 年もの年月が経過したことを意味します. 10 年代の終わりに, 10 年代を代表するアルバムを選ぶことは大切ですが, 21 世紀以降, どのような音楽が生まれたかを振り返ることもまた, 大切でしょう. 本記事では, 00 年代の名作・傑作アルバムを, ランキング形式で, 100 枚紹介します. 100 枚全て, 個人で選んでいます. 100 枚も選べたのはもちろん, サブスクというテクノロジーのおかげです. インターネットが完全にインフラ化した現在, インターネット上の意見を集約した「ベスト・アルバム」は, けっきょく誰もが予想がつくようなありきたりな内容になってしまいます. それよりも, クセの強い, 個人の選ぶ 100 枚のアルバムの方が, 興味深くなるはずです. 選考基準は,「10 年代の終わり」に聴いても名作だと思われること, それから, 10 年代に大きく影響を与えたと思われるものです. 続きを読む